
真ん中部分は下駄箱。中に浮いたような格好になっているのは、下からの明かりを取り入れるため。日本的な手法とのことだが、足元が明るく生活しやすそうだ。

木の風合いが見る人に優しい。やはり日本人は生活の中に「木」を取り入れ、常に木の温かさを肌で感じることで、本当に落ち着けるのかもしれない。
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ライフスタイルを知ることで、暮らしやすい家になる。
では、必然とは、伝統やしきたりで定められたルールではなく、そこで暮らす人の生活様式ということか。
「もちろん、そうです。本来、伝統や文化というのは『こうした方が良いものになるという』人を豊かさへ導く考え方や慣習であって、『伝統や文化だからそうすべき』と規制する類のものではないはずです。特に家というのは、そこで暮らす人々のために建てるのですから、住む人が暮らしにくいのでは何のために建てるのか分かりません。
私はそこに住む人と話もせずに、建築プランを考えることはないですね。住む人のライフスタイルを知らなければ、窓の位置ひとつ決めることができないからです。知れば、暮らしやすい家になると思っています」と、黒川氏。
日本の良さを今に感じさせる、現代的な隠れ家の完成。
ここで暮らす人達のライフスタイルと、それに導かれた必然性を、建築家である黒川氏が実現することによって、H邸は完成した。
取材の日は、あいにくの雨模様であったが、石畳や木塀、庭の木々がしっとりとした潤いを帯び、かえって雨の美しさを教えられたかのようだった。晴れの日も、雨の日も、四季折々の移ろいに、それぞれの美を見出してきた日本の伝統と文化。H邸は、その日本の風流を、一年を通じて感じることのできる、現代では稀少な家なのかも知れない。大切に守られてるものがあるからこそ、いつまでも愛される家となるのだ。
H邸DATA
- 床面積/131.94m2
- 主体構造/木造
- 設計・管理/KUROKAWA一級建築デザイン事務所
- 施工/(株)有田組、石崎安全硝子(株)、双葉建設(有)、(有)美鈴造園、(株)中島工作所、(株)池久保電工社、沖田塗装
- 主要メーカー/TOTO、KOIZUMI、YKKAP、三菱、広島ガス
- 主な仕上げ材料/屋根:ガルバリウム、外壁:ニュートーンコテ塗り、床:ナラ無垢材、天井:和紙、壁:珪藻土

